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covid-19

2020年5月23日
東京大学につづき、公益財団法人東京都医学総合研究所に抗体検査器を寄贈

下記、特定非営利活動法人(認定NPO)ピースウィンズ・ジャパンさんのリリースより

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村上財団×空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”

東大病院への寄贈に続く第2弾

都医学研抗体検査器寄贈

都内抗体保有率把握拡大防止策策定に向けて

経済活動の再開に向けた指標確立の一助に

 

定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(本部:広島県神石高原町、代表理事:大西健丞)が運営する「空飛ぶ捜索医療団ARROWS(アローズ)」は、新型コロナウイルスの抗体検査に取り組む、公益財団法人東京都医学総合研究所(世田谷区、田中啓ニ理事長)に、抗体検査器と測定試薬一式を寄贈しました。この寄贈にかかる費用全額1,000万円は、一般財団法人村上財団(本部:東京都渋谷区、創設者:村上世彰、代表理事:村上絢)の寄付により賄われました。

日本で最も感染者数が多い東京都は、今月13日、過去の感染歴を調べる「抗体検査」を月3,000件のペースで実施することを発表。地域ごとの抗体保有率などを調査・分析することで新型コロナウイルスの診断率向上や疫学調査に役立てようとしています。今回寄贈した検査器「iFlash 3000」は、武漢をはじめ中国、タイ、フランス、ドイツで130台が使用され世界標準となっている検査器(詳細以下参照)。抗体検査は、ウイルスに感染した後にできるタンパク質(抗体)が血液中にあるかを調べる検査で、この検査器では、最大500件の検体検査が可能です。医学総合研究所は、すでに開発済の検査キットと合わせて活用する予定で、検体の用意は都内の病院と連携し、検査結果については、東京大学先端科学技術研究センター(児玉龍彦名誉教授:がん・代謝プロジェクトリーダー)と共同で分析にあたります。

今回の検査器支援に先駆け、PWJと村上財団では、4月、抗体検査に取り組む東京大学医学部付属病院(以下東大病院、瀬戸泰之院長)に、抗体検査器「iFlash 3000」と測定試薬一式を寄贈。今月15日に実施されたオンライン記者会見(主催:東京大学先端科学技術研究センター・児玉龍彦名誉教授)では、寄贈された検査器3台を含む6機関の協議会の抗体検査の結果(経過)が発表され、「都内における感染者の陽性率0.6%」という数字が示され、これまでに判明した都内感染者5,000人の16倍にあたる80,000人程度が感染者の可能性があると報告されました。抗体検査の取り組みはまだ始まったばかりですが、このような調査を繰り返すことで、過去に感染した人がどれだけいるかを算出でき、ワクチン接種が必要な人数や、次の流行で感染する可能性がある人数の推計につながると期待されています。くわしくはこちら

<5/15記者会見「抗体陽性率検査結果について」>(https://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/news/release/20200515.html)。

<ARROWS 東大に寄贈> https://arrows.red/news/emergency/n20200422/

「iFlash 3000 :Chemiluminescece Immunoassay Analyzer」

(機器・試薬販売元 株式会社医学生物学研究所MBL)

 

 

◆検査器「iFlash 3000」について

今回の抗体検査にあたっては、定性的でなく、定量的に多数の血液サンプルを検査できる機械が必須です。iFlash3000は、日本のJSR株式会社が開発した化学発光ビーズを用いた多数自動検査測定器で、IgGおよびIgMの定量的測定が可能となっています。東京大学のほか、慶応大学病院、大阪大学医学部付属病院、京都府立医科大学付属病院などが参加する大型プロジェクト「新型コロナウイルス抗体検査機利用者協議会」が目下急ピッチで進めている抗体測定に不可欠な検査器として重宝されています。

 

-東京都医学総合研究所 田中啓二理事長からのメッセージ-

公益財団法人東京都医学総合研究所(都医学研)は、「都民の生命と健康を守る」ための生命医科学研究を推進して「首都東京の保健・医療・福祉の向上」に貢献することを使命としています。突然に発生した新型コロナウイルス感染症の惨禍により、我が国を含め全世界は未曾有かつ甚大な被害に見舞われています。東京における本パンデミック感染症の克服は、日本国民の健康を守るための一里塚であります。現下の状況において、都医学研は新型コロナウィルス対策チーム(総括責任者 糸川昌成)を設置し、都から受託したワクチン開発に向けての特別研究を小原道法・安井文彦(感染制御症プロジェクト)チームが中心となり鋭意推進しています。また新型コロナウィルスに関する遺伝子研究や治療薬開発に関する基礎研究にも取り組んでいます。一方、新型コロナウイルスの「抗体検査」は本感染症に対する集団免疫の成立を監視するための必須手段であり、今後のウイルス感染症の蔓延阻止を図るための施作の策定などに極めて重要であります。また「抗体検査」は、ウイルス感染の実態を測定する「PCR検査」や「抗原検査」と並んで、ウイルス感染の動向を学術的に検証する最も重要な解析手段でもあります。この度、都医学研は、認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパンと村上財団からの本コロナウイルスに対する抗体計測装置の寄贈を受け、主として東京都各地区に存在する都立病院・公社病院への来院患者さんを中心に幅広く都民の抗体検査に包括的に取り組んでゆく方針であります。これらの解析を通して、都医学研は新型コロナウィルス感染症の撲滅に向けて邁進してゆく所存であります。今回のパンデミック感染症が瞬く間に世界に広がったことは、グルーバル化した現代社会の負の側面でもありますが、その克服は人類の発展に不可欠であります。多くの医療関係者・医学研究者の皆様が一致団結して、この難敵に立ち向かい撃破することを祈念しています。そのためには、多面的な病態の解析と幅広い研究の推進、そしてその結果得られた情報を共有して本コロナウィルス感染症に真正面から挑むことが必須でありますので、関係各位のご協力を宜しくお願い致します。

 

東京大学先端科学研究センター 児玉龍彦名誉教授からのメッセージ-

日本におけるコロナ感染の最大の問題は「首都・東京の感染」です。私たちは、都内の感染率の把握、都内の院内感染、老人施設での罹患率の把握をより一層強めており、そのために東京都の中核医学研究施設である東京都医学総合研究所へiFLASH3000システムの導入支援が必要ですが、国からの支援が決まっていないなか、村上財団およびPWJに依頼をしました。東京都総合医学研究所には、新型コロナウイルスに対する免疫反応の異常を詳細に検討している小原道法先生のグループがあり、これまでもこれからも彼らの参加が日本の抗体プロジェクトの発展に必須です。研究所が有する免疫学の知識を活用し、少しでも早く新たな治療法開発に結びつけたいと考えています。

-村上財団 からのメッセージ-

4月に東京大学の児玉龍彦先生より、抗体検査に関する機器購入支援のご依頼をいただき、欧米で開始が検討されているとのニュースを見ながら、「日本にも、絶対に、そしてすぐに必要だ」と強く感じていたため、新型コロナウイルス感染拡大の緊急支援で協働するピースウィンズ・ジャパンのARROWSを通じての支援を決めました。今回の都医学総合研究所への支援は、それに次ぐ第2弾の支援ですが、続いて京都府立医科大学への支援も予定しています。抗体検査に対しては様々な意見がありますが、こうした検査の実施による行動制限の緩和や、そのデータの分析が、世界が今後も新型コロナウイルスと向き合っていく中で、大きな助けになると信じています。日々、現場で戦う医療従事者をはじめとする関係者の皆様にとっても、こうした検査が、心理的・物理的な負担の軽減につながりますことを、心より願います。

 

ARROWS医師 坂田大三からのメッセージ-

「闘う相手の正体がわからない」 。これが臨床の現場で対応する人間にとって最も恐ろしいことです。大規模な抗体検査が可能になれば医療従事者が対峙しているウイルスの真の姿が見えてきます。すでに中国や米国の企業などから抗体検査の迅速測定キットが提供されていますが、抗体測定の精度や有用性を実証するには、まだ道半ばの状況です。今回提供した機器を、臨床研究の最前線で挑戦し続けている皆さんに提供することが,医療の現場を、また日本全国の皆さんを支援することにつながると信じています。

 

 

新型コロナウイルス感染症の影響を少しでも減らすため、あらゆる力を結集し、一人でも多くの命を救い、社会の安定につなげる取り組みが求められています。報道機関の皆様におかれましては、ぜひご関心をお寄せいただきますようお願い申し上げます。

 

ARROWS(アローズ、

Airborne Rescue & Relief Operations

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